驚くべき人間の聴力

以前、ICU(集中治療室)で勤務していたときの話です。

 

ICUで全患者さんは重篤な状態であり、呼吸器による呼吸の補助が欠かせません。中には、カラダへの負担を最小限にさせるために、薬剤により鎮静させることもあります。

鎮静:麻酔をかけた状態のように治療のために意識を消失させる。

 

ある40代の若い男性が心筋梗塞で救急車で運ばれ、鎮静による治療が施されていました。
私が勤務していたICUではナースステーションは壁で被われておらず、緊急時にすぐに対応できる構造になっていました。

その男性ですが、年齢も若かったせいか治療も大きな効果を見せ、退院時には奥さんと共にスタッフ一同に挨拶に来られましたが、そこで私は驚くべき光景を目にしたのです。

 

特定の人にしか話していない内容を彼は他のスタッフに確認していたのです。

「夢だったのかわからないけど、アメリカに行く予定の看護婦さんはいますか?」
「夢だとは思えないくらい、頭に残ってて・・・」

 

その瞬間、それは私の事であり、ナースステーションで仲の良かった同僚に話していた内容そのままでした。

 

私は、担当の患者さんのケアに行かなければならず、話に入ることができなかったのは残念でしたが、確実に鎮静で麻酔がかかっている状態、驚くべきヒトの聴力を目の当たりにした瞬間でした。

 

カラダは眠っているのに聴覚は覚醒、それを脳で処理することもできていたということです。

 

それを考えると、事故などで重傷を負い 植物状態 と言われているような方々の聴覚についても同様の事が起こっているかもしれません。身内にそのような方がいらっしゃれば、積極的に声をかけることで脳への刺激になっているかもしれません。

 

私も、そのような方々のケアの一環で、日中は音楽やラジオをかけ、夜になれば明かりを消し部屋を暗くするといった環境を調整していました。時には鳥のさえずりや川の流れなど自然の音、病院では聞くことのできないような音楽もかけていました。

 

聴覚から得られる多くの情報は、想像以上の脳への刺激となります。

 

万が一、皆さんの周りでそのような状況となったとき、思い出して下さい。

聴力はしっかりしている可能性があることを・・・。

ちっち

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